金融商品会計

このトピックでは、金融商品とその会計基準を取り上げて説明します。金融商品には資産も負債もありますが、ここで纏まりの説明となります。

金融商品とは「金融資産、金融負債及びデリバティブ取引に係る契約を総称したもの」を指します。

金融商品は大きく金融資産と金融負債に分けられ、それぞれ以下のような分類があります。

金融資産

  1. 現金預金
  2. 金銭債権
    • 受取手形
    • 売掛金
    • 貸付金
    • その他の金銭債権
  3. 有価証券
    • 売買目的有価証券
    • 満期保有目的の債券
    • 子会社株式および関連会社株式
    • その他有価証券
  4. デリバティブ取引により生じる正味の債権

金融負債

  1. 金銭債務
    • 支払手形
    • 買掛金
    • 借入金
    • 社債
    • その他の金銭債務
  2. デリバティブ取引により生じる正味の債務
 

契約上の権利または金融負債の契約上の義務を生じさせる契約を締結したときに、その金融資産または金融負債の発生を認識(財務諸表に計上)します。
金融資産は、契約上の権利を行使、喪失または他に移転したときに、その金融資産の消滅を認識し、金融負債は、契約上の義務を履行、義務が消滅、あるいは第一次債務者の地位から免責されたときに、その金融債務の消滅を認識します

金融資産は時価、金融負債は債務額をもって貸借対照表評価額とするのが原則です。

現預金

金融資産のうち現金預金については評価の問題は生じません。

金銭債権

受取手形、売掛金などの金銭債権の貸借対照表評価額は、債権金額またはは取得原価から正常な貸倒見積高を控除した金額となります。

ただし、債権を債権金額より低い価額または高い価額で取得した場合において、取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額から、貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額としなければなりません。

  • 償却原価法
    償却原価法とは、債権または債券をその券面額よりも低い価額または高い価額で取得したときに、その差額を弁済期または償還期に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減する方法である
 

有価証券

分類評価基準評価差額表示区分
売買目的有価証券時価当期の損益流動資産
満期保有目的の債券取得原価(額面が取得原価と異なるときは償却原価法)当期の受取利息1年以内に満期なら流動資産、それ以外は投資その他の資産
子会社株式・関連会社株式取得原価投資その他の資産
その他有価証券時価洗替法又は切放法投資その他の資産

金銭債務

支払手形、買掛金、借入金、社債などの金銭債務は、債務額で評価することとされています。
ただし、払込を受けた金額が債務額と異なる社債は、適正な価格をつけることができます。その差額にあたる金額は、償還日までの期間にわたって、毎期一定の方法で債務額に加減して処理するということになっています。また、額面との差額を社債発行差金として繰延資産に計上することも認められています

債権は、債務者の財政状態および経営成績等に応じて、一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権等の3つに区分されています。そしてそれぞれの区分ごとに貸倒見積高の算定方法が下表のように定められています。

 評価方法貸倒見積高
一般債権貸倒実績率法過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定。
貸倒懸念債権財務内容評価法債権額 ― 担保処分もしくは保証回収見込額 ± 債務者の債務状況
キャッシュフロー見積法債権の帳簿価額-割引現在価値
破産更生債権等財務内容評価法債権額 ― 担保処分もしくは保証回収見込額