差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
両方とも前のリビジョン 前のリビジョン | 最新リビジョン 両方とも次のリビジョン | ||
kdict:terms:こ:こて:固定資産 [2020/02/16 00:00] admin |
kdict:terms:こ:こて:固定資産 [2022/04/10 01:25] liwenfeng |
||
---|---|---|---|
行 25: | 行 25: | ||
* 電話加入権 | * 電話加入権 | ||
* 上記の資産に準ずるもの | * 上記の資産に準ずるもの | ||
+ | |||
+ | ====== 固定資産 ====== | ||
+ | {{page> | ||
+ | |||
+ | 固定資産とは、販売目的ではなく、継続的に会社で使用することができる、または長期に渡って所有される資産のことであり、貸借対照表上で借方「資産の部」の下側にくる勘定になります。 | ||
+ | |||
+ | 固定資産と対照になるのは、現金や棚卸資産等の流動資産があります。 | ||
+ | |||
+ | ===== 固定資産の分類 ===== | ||
+ | 固定資産は以下のように分類することができます。 | ||
+ | |||
+ | 有形固定資産=原則1年以上使用することを目的として所有する資産のうち具体的な形態を持ったもの | ||
+ | 無形固定資産=具体的な形を持たない資産で、長期に渡り経営に利用され、他企業との競争上有用なもの | ||
+ | 投資等」=「長期の利殖を目的とした資産、他の企業を支配するための投資およびこれらに属しない長期資産」 | ||
+ | |||
+ | ===== 固定資産の計上 ===== | ||
+ | ==== 固定資産の修繕 ===== | ||
+ | |||
+ | |||
+ | 資本的支出 | ||
+ | 「資本的支出」という理解しにくい用語があります。資産の修繕のための支出のうち資産として計上す | ||
+ | べきもののことを意味しますが、実務上問題になるのが「修繕費」との区分です。 | ||
+ | 資本的支出と認定されれば貸借対照表の固定資産の部に計上されますが、修繕費と認定されれば損 | ||
+ | 益計算書の販売費・一般管理費の項に計上されます。その判定は紙一重なのですが、当期損益の額 | ||
+ | に影響する大きな違いとなって表れてきます。 | ||
+ | その認定基準は資産の価値を高めるものかそうでないものかが基本となりますが、個別の事情により | ||
+ | 判断するしかありません。 | ||
+ | 資本的支出であれば、資産計上のため①資産の追加取得、②補助資産の新規計上などで処理しま | ||
+ | す。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | |||
+ | ===== 固定資産の減価償却 ===== | ||
+ | 取得原価をその耐用年数における各事業年度に配分すること | ||
+ | |||
+ | 固定資産は長期に渡って使用・所有するものですから、時間の経過とともに価値が減っていきます。 | ||
+ | |||
+ | そこで、一定のルールに基づいて資産の取得原価をその耐用年数における各事業年度に配分することが必要にあんります、これが「減価償却」です。 | ||
+ | |||
+ | 仕訳で表すなら、資産に計上されていた価額の一部が損益計算書の費用に振り変えられることになります。 | ||
+ | しかし、①時間の経過によって価値が減らない資産、②価値の変化が時間では測れない資産につい | ||
+ | ては、その性格上減価償却の対象外となります。これが「非償却資産」です。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | ==== 償却方法 ==== | ||
+ | 償却のルールには以下の3種があります。 | ||
+ | * 定額法:毎年一定額を償却 \\ 定額法は(税法上)建物や無形固定資産に適用される方法です。 | ||
+ | * 定率法:毎年一定率を償却 \\ 定率法は取得初年度に最大の償却を行い、年数が経るに従って償却額が減っていく方法です。定額法が適用される資産以外の償却資産に適用されます。 | ||
+ | * 生産高比例法:機械等の生産実績に応じて償却 | ||
+ | | ||
+ | ==== 税法償却と会計償却 ==== | ||
+ | |||
+ | 減価償却のルールに何を使うべきかは会計の目的によって変わってきます。 | ||
+ | 税法によって損金に計上できる償却費の計算基準が決まっています。例えば建物は定額法、機械は | ||
+ | 定率法などです。耐用年数も詳細な規定があります。 | ||
+ | しかし、企業会計上の償却はそれに従う必要はありません。もちろん税法で決められた償却方法をそ | ||
+ | のまま採用してもかまいませんが、企業独自に償却方法を選択したり耐用年数を変更したりすること | ||
+ | が可能です。この場合、決算書に載る数値はこちらの数値となります。 | ||
+ | このような会計上の償却の自由があるからといって、頻繁に償却ルールを変更することは許されませ | ||
+ | ん。利益操作に使われる可能性があるからです。また有価証券報告書等には企業が採用している償 | ||
+ | 却基準を明記することになっています。 | ||
+ | 税効果会計のところで紹介したように、税法上の償却費の数値も把握する必要がありますから、固定 | ||
+ | 資産システムでは会計償却の値と税法償却の値の双方を持たねばなりません。R/ | ||
+ | 数の償却基準での管理を「償却領域」という機能を使って実現します。 | ||
+ | 償却領域の使い方としては、例えばUSGAAP(米国会計基準)など他国の基準に基づいた償却デー | ||
+ | タを管理することもあります。 | ||
+ | |||
+ | ==== 償却の仕訳方法 ==== | ||
+ | |||
+ | 減価償却の仕訳には間接法と直接法があります。 | ||
+ | 「間接法」= 資産勘定は減らさず「減価償却累計額」勘定を使用 間接法は、減価償却による価値減少分を、資産の取得勘定そのものには反映させず「減価償却累計額」という別の資産勘定に仕訳する方法です。この方法ですと、資産をいくらで取得して、今現在いくら償却が進んでいるのかを勘定残高ベースで見ることができます。 | ||
+ | 「直接法」= 資産勘定を直接減額 直接法は資産勘定を直接減額する方法です。無形固定資産にこの方法が使われます。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | |||
+ | なお、間接法の場合であっても貸借対照表上に減価償却累計額の勘定残高を表示しない場合があります。資産勘定の残高として直接法と同じ金額を表示させる方法です。「注記法」という方法で、その場合は欄外の注記の項に減価償却累計額の残高を表示します。 | ||
+ | いずれの場合も、減価償却後の資産価値のことを「簿価」ないし「正味簿価」といいます。 | ||
+ | |||
+ | 間接法の場合、簿価は以下の式で計算します。 | ||
+ | 「正味簿価 = 取得価額 - 減価償却累計額」 | ||
+ | |||
+ | ===== 固定資産の除却 ===== | ||
+ | |||
+ | 廃棄の場合 | ||
+ | 売却の場合 | ||
+ | ① 機械を廃棄した(間接法、取得価額200, | ||
+ | 減価償却累計額 150, | ||
+ | 廃棄損50, | ||
+ | 機械 200, | ||
+ | ③ ②と同じく売却したが60, | ||
+ | ② ①の資産を(廃棄せず)30, | ||
+ | 資産の増加 | ||
+ | 費用の発生 | ||
+ | 減価償却累計額 150, | ||
+ | 未収入金30, | ||
+ | 固定資産売却損20, | ||
+ | 機械 200, | ||
+ | 資産の増加 | ||
+ | 費用の発生 | ||
+ | 減価償却累計額 150, | ||
+ | 未収入金60, | ||
+ | 機械200, | ||
+ | 固定資産売却益10, | ||
+ | 資産の減少 | ||
+ | 資産の増加 | ||
+ | 収益の発生 | ||
+ | 一般 | ||
+ | 固定資産の「除却」はいろいろな意味合いで使われますが、ここでは「廃棄」と「売却」の双方を含むも | ||
+ | のとして使います。 | ||
+ | 「廃棄」はその名の通り、使えなくなった資産を廃棄することで、見返りの収入はありません。上記①は | ||
+ | 間接法の資産の場合の仕訳ですが、取得原価を貸方に、そのときまでの減価償却累計額を借方に | ||
+ | 仕訳します。そして、その差額である「簿価」の分だけ価値のあった資産を廃棄するので、その額を「廃 | ||
+ | 棄損」勘定に仕訳します。この勘定は資産の種類ごとに「○○廃棄損」と使い分けたり、「除却損」の名 | ||
+ | 称になることがあります。 | ||
+ | 売却の場合も考え方は同じですが、いくらかでも代金を受け取れる点で大きくことなります。売れた金 | ||
+ | 額が「簿価」以下か以上かで仕訳が異なります。 | ||
+ | 「簿価」以下で売却された場合は、簿価と売却額との差額が「売却損」となります。②の事例ですと、 | ||
+ | 50, | ||
+ | 「簿価」以上で売却された場合は、簿価と売却額との差額が「売却益」となります。③の事例ですと、 | ||
+ | 50, | ||
+ | なお、固定資産廃棄損、売却損益勘定は損益計算書上、特別損益に区分されます。資産の除却は通 | ||
+ | 常の業務ではないとみなされるためです。 | ||
+ | 設備投資予算 | ||
+ | リース資産 | ||
+ | 固定資産を購入するのではなく、リース契約で使用する場合も会計処理が必要です。 | ||
+ | 詳しい基準は省略しますが、リース契約にも2種類あって、①オペレーティングリースは賃貸借と同視さ | ||
+ | れるもので、賃貸系契約と同様リース料を費用として処理するだけなのに対し、②ファイナンスリース( | ||
+ | キャピタルリースともいいます)は、期間中は解約ができないなど売買契約に近いリースです。 | ||
+ | ②ファイナンスリースの場合はその性格から資産の購入と似た処理をすることになっています。ファイ | ||
+ | ナンスリースでは、「借金したお金を元に資産を購入した」ように考えるのです。借金には金利がかかり | ||
+ | ます。その金利分を資産代金の分割払い分に上乗せした金額を、毎月リース料として支払っているも | ||
+ | のと考えます。これを逆に考えると、リース料総額(上記マスタの例だと5, | ||
+ | 額300, | ||
+ | なせます。これが「取得価額相当額」です。リース関係の勘定科目名称に「相当」額とあるものが多いの | ||
+ | は、金利を元にみなし計算をしているためです。 | ||
+ | 資産と同視しますので、減価償却費「相当」額も必要ですし、減価償却累計額「相当」額も必要です。 | ||
+ | 取得価額「相当」額から減価償却累計額「相当」額を差し引いたものが期末残高「相当」額です。これら | ||
+ | を資産勘定として計上することになります(例外あり)。 | ||
+ | R/ | ||
+ | |||
+ | |||
+ | ===== 建設仮勘定 ===== | ||
+ | 固定資産はその建設・作成に長期間かかることがありますので、その間仮の資産として計上しておくのが建設仮勘定です。 | ||
+ | |||
+ | 仮勘定ではありますが、仕訳上の調整に使うものではなく実態を伴うものですから、期末決算時に他勘定に振り替える必要はありません。貸借対照表の「有形固定資産」の部に計上することができる仮勘定です。 | ||
+ | |||
+ | 建設仮勘定の資産については減価償却を行いません。減価償却は業務に供されていないので、償却する必要がないためです。 | ||
+ | |||
+ | 建設中・作成中の有形固定資産 | ||
+ | 減価償却しない | ||
+ | 完成後、固定資産勘定に振り替え | ||
+ | A建設に建物の建築を依頼し、代金の一部2, | ||
+ | 建設仮勘定 2, | ||
+ | ② ①の資産が完成し引渡しを受けたので、残代金8, | ||
+ | 建物 10, | ||
+ | 建設仮勘定2, | ||
+ | 資産の増加 | ||
+ | 資産の増加負債の増加 | ||
+ | 一般 | ||
+ | | ||
+ | |||
+ | ====== 固定資産台帳 ===== | ||
+ | 固定資産の補助元帳が固定資産台帳になります。 | ||
+ | |||
+ | 資産1件ごとに取得、除却等の取引データと減価償却を記録して、その結果を総勘定元帳に転記します。 | ||
+ | |||
+ | {{page> | ||